調理師さんは管理栄養士さんをどう思ってるの?2つの立場から徹底解説

施設・病院業界
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この記事を読んでわかるコト
  • 『料理人』『給食調理師』2つの立場の思っているコトがわかる
  • 料理人が栄養士をどう思っているかわかる
  • 給食業界の調理師が栄養士をどう思っているかわかる

調理師さんは栄養士をどうみているのか気になったことはないでしょうか?

調理師と栄養士は、密接な関係で良きパートナーです。

調理師がどんなイメージ持っているのかわかることでお互いの関係性もよくなると感じています。

イタリア料理の調理師として長年活躍し、食品メーカーへ転職した筆者が2つの立場から解説していきます。

筆者
筆者

調理師がどんなことを思って

いるか知るコトで

関係性が良くなるかも

しれないね!

給食の<br>調理師さん
給食の
調理師さん

日ごろ感じていることを

お話します!

調理師として2つの立場

ひとえに調理師といってもおおきく2つに分類されます。

調理師
  1. 飲食業界の料理人
  2. 給食業界の調理員

2つの立場から見る栄養士さんはどのような印象、イメージなのかを具体的に解説します。

飲食業界の料理人

調理師という職業をえらぶ中でお客さんに美味しいものを提供したい、お店を持ちたいと考える人が多いのが『料理人』と言われる人たちです。

実際には調理師免許を取得して料理人になるひと(詳細記事)は、全体の1/3です。

料理人といわれる人は、おそらく栄養士さんとほとんど仕事をしたことがありません。

筆者
筆者

わたしもその一人です!!

栄養士さんと仕事をいっしょに

したことがありません。

まずは料理人が栄養士さんをどう思っているのかみていきましょう。

料理人が栄養士に抱いていること

料理人が頂ている『栄養士さんの印象』を書き出してみました。

料理人が栄養士に頂いていること
  • 尊敬
  • 料理人より責任感がある
  • デスクワークが多そう
  • 女性が多い
  • 給料が良さそう
  • 頭のかたい人が多そう
  • 美味しさ重視じゃないから面白くなさそう
  • 仕事の幅が広そう

尊敬

料理人より責任感がある

この2つは似ているのでまとめて解説していきます。

料理人は栄養士を尊敬しています。

具体的に何を尊敬しているのかというとまず同じ国家試験でありながら管理栄養士資格は、取得するのがむずかしいとわかっています。

調理師免許のように、1年間養成学校に行けば取得できると思っていません。

勉強する量が圧倒的に違い、管理栄養士になるまでには時間がかかるという認識はしっかりもっています。

しかし、『栄養士』さんと、『管理栄養士』さんの違いを答えて!といったらわからない料理人が大半です。なんとなく、管理がついている方が大変そうだな…というイメージしかないかもしれません。

管理栄養士さんからすればかなり大きな違いですが、いずれにしても料理人から見るとたくさん勉強しているすごい人たちと思っています。

ちなみにわたしの同期や同僚、先輩など4年生大学卒の調理師はひとりもいませんでした(´;ω;`)ウゥゥ

~管理栄養士になるまで~

◆高校卒業後、管理栄養士養成課程のある4年制大学や専門学校に入学し卒業。
◆昼間の学校に通う必要があり、夜間や通信教育はない。
◆管理栄養士国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける。
◆試験は毎年2月下旬~3月上旬頃に実施され、合格率は50〜64%。
◆栄養士養成課程を修了後、実務経験を積んで試験を受けるルートもあるが、合格率は低い。

責任感についてもお話しておきましょう。

料理人にとっての『責任』とは、

美味しい料理を提供するコト

安心・安全な料理提供をするコト

効率的に業務を遂行するコト

このような責任があげられます。

料理人は特に、『美味しい料理を提供するコト』に注力していて、繁盛店、リピート客、客単価、売上など経営に絡んだ思考で働いています。

なので、異物混入によるクレームや食材の入れ忘れなど反省と謝罪はしますがさほど気にしていないのがリアルなところ。実際、わたしが働いたお店はすべてそんな感覚でした。

もちろん上司にむちゃくちゃ叱責されますが…(´;ω;`)ウゥゥ

これに対し、

管理栄養士さんは患者さんや入居者さんの命に直結する責任ある仕事なんだと認識しています。

管理栄養士さんの『責任』のいくつかをあげてみました。

栄養・食事管理を通して健康維持と増進を指導するコト

給食を通じて正しい食生活習慣の指導をするコト

疾病進展の防止を行い治療の土台となるコト

つまり、治療の延長戦上または治療の土台となる重要な職業です。

ここまでくわしく知る料理人はいないかもしれませんが、『いのちに直結する責任をもっている』という漠然とした認識はもっています。

役割がちがうので単純な比較はできないのですが、尊敬するおおきな理由は『責任』によるものがあると思います。

筆者
筆者

「職務」と「職責」ってあるけど、栄養士さんは「職責」の比重が大きい職業なんだ

デスクワークが多そう

料理人のデスクワークはほぼありません。

料理長や副料理長になればメニュー考案やレシピ、人の管理、食材管理などをパソコンでやるかもしれませんがそれ以外はほとんど現場で作業をしています。

なので、”あたまを使う管理栄養士さんは常にパソコンと向き合っていそう”って思っています。

実際わたしも現在食品メーカー勤務していて、栄養士さんとお話する機会があります。(※コロナ過は面談一切NGだったが、現在は少しずつ対面OKに)

ほとんどの栄養士さんは白衣を着ていて、パソコンの前でデスクワークをされていますね。

ただ私の同僚の奥様も委託の管理栄養士さんですが、自らを『盛付士(もりつけし)』と称していました(笑)

調理師も同じですが職場でかなり働き方は違ってくるようです。

女性が多い

メディアの影響もあるかもしれませんんが、女性が多い印象があります。

料理人の世界では多くはありませんが女性はいらっしゃいます。

栄養士さんたちの年齢幅はひろくて20代前半の方から60代の女性までいらっしゃってすごく幅が広いなという印象があります。

なのであるあるですが、”人間関係が大変そうだなー”とも思ってしまいます。

給料が良さそう

この印象はかなり多くもっています。

理由は”調理責任の調理師より、いのちに関わる仕事である管理栄養士の方が高いに決まっている”という割とすじの通った理由です。

実際はそうでもなく、施設によって違いますしむしろ低いと言っている栄養士さんが多いです。

ただ、福利厚生などは手厚い場合が多いようです。

栄養士及び管理栄養士の所得

年齢平均年収ボーナス
20〜24歳245.1万円261.3万円
25〜29歳305.3万円76.3万円
30〜34歳335.4万円83.9万円
35〜39歳382.7万円95.7万円
賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)

頭のかたい人が多そう

料理人と違って、栄養学やアレルギー・治療食を考えているのでかたい人の印象があります。

かたい人というと少し語弊があるかもしれないですが、まじめな人が多そうという事

それもそうで、飲食業界では問題が起こった時はノリで切り抜けられますが、栄養士さんの場合はそうはいきませよね!?

筆者
筆者

ノリでなんとかなる料理人って…

なんとも言えない気持ちになってきた( ;∀;)

実際私も仕事上お付き合いのある栄養士さんは、真面目な方が多いです。

そして色白な方が多い気がするのですが私の偏見でしょうか…

美味しさ重視じゃないから面白くなさそう

料理人は見栄えや美味しさを探求するいきものです。

なので栄養重視の管理栄養士さんは面白くなさそう、張りがなさそうと思っています。

目的が料理人とちがうので当然ですよね。

でも実際おおくの栄養士さんは努力をされています。

仕事上たくさんの栄養士さんとお話しますが、完食をゴールとしてさまざまな努力をされています。

低塩、味の薄い料理を完食させるというのはかなり大変なことです。

そんな苦労を知る由もなく、料理人は面白くなさそう…という思いを抱いています。

筆者
筆者

薄味、低塩で美味しいは

”至難”のわざ!

仕事の幅が広そう

料理人の場合だと、お店ではたらくだけでなく独立開業、フリーランスでケータリング、有名シェフになって○○監修などの活躍イメージはあります。

管理栄養士さんはもっと活躍の幅がひろいと思っています。

管理栄養士さんの活躍
  • コンビニ商品開発の監修
  • スーパー惣菜商品開発の監修
  • 宅配べんとうの監修
  • スポーツジム食事サポートの監修
  • 院内食事の監修

つまり管理栄養士さん個人のちからで知名度や集客もかわってくる可能性が高いんです。

食の安心・安全意識はつねにあるのでこれからもニーズがたかまっていくと思います。

しかも体力勝負の料理人は年齢を重ねていくといままでのパフォーマンスはできません。

あたまを使う栄養士さんはある程度の年齢であっても活躍は維持されます。年齢が良いあつみとなって更に活躍されます。

給食業界の調理員

管理栄養士・栄養士さんと密接な関係にある給食の調理員です。

調理師免許を取得して施設の調理師(調理員)になるひと(詳細記事)は、全体の半分です。

筆者
筆者

ここからは現在の仕事で

交流のある施設

調理員さんから聞き込んだ

内容です!

無くてはならない給食業界の『管理栄養士』さんと、『調理師』さん。

給食現場の調理員さんは栄養士さんをどう思っているかみてみましょう。

給食調理員が栄養士に抱いていること

給食調理員さんが栄養士さんに抱いていることを聞き込みし書き出してみました。

給食調理員が栄養士に頂いていること
  • 尊敬
  • 献立を考えるが大変そう
  • 予算内での献立が大変そう
  • 患者への食事指導が大変そう
  • 栄養士というか調理員

尊敬

料理人のたちばからもあがっていましたが、調理師はみんな尊敬しています。

やはり資格の取得方法やカリキュラムをみずからの調理師と比較してのことですのでイメージがしやすいんだと思います。

献立を考えるのが大変そう

委託として入っている場合、本部からの献立を選定または指示どおり実行していけばいいのですが、直営の場合は管理栄養士みずからこんだてを考えます。

3食こんだてを考えるだけでなく、イベント食やおやつも入ってくるので大変そうだと思っています。

さらに大変そうという声が多かったのが、栄養士さんの引継ぎ(入れ替わり)です。

引き継ぐ栄養士さんは若いひとが多く、前任のしごと内容を振り返りながら人手不足のため現場でいっしょに調理をする姿をみて、ほんとに大変そうと感じているようです。

反対に調理師の引継ぎは作業面の引継ぎがほとんどなので大変ではありません。

料理人の引継ぎに至っては、前任者が辞めてからそのポストに入る場合が多いので引継ぎなしです。

引継ぎが出来たとしても料理人ならではの自信とプライドから自分流に変えるというのがほとんどですね。

予算内での献立が大変そう

これは調理員さんが思っているというよりも、業界全体が思っているのではないでしょうか。

直営の場合であれば若干ごまかしがきくと聞きますが、大変です。

施設側の予算枠でいままでと同等のこんだてを考えるのは至難の業。

手作り率を上げればコストは下がります。同時に人件費が上がります。

メーカーからの既製品を多く使えば予算を圧迫し、足らなくなります。

そんな状況から施設長や会社もおなじ悩みを抱えていらっしゃいます。

私が知る直営の栄養士さんのほとんどが、予算の交渉と手作り率を上げる手法をえらんでいます。

患者への食事指導が大変そう

食事サポートが必要な患者さんに対して、管理栄養士さんが直接指導をするらしいのですがとにかく大変そう。

患者さんといえど、ほんとにいろんなひとがいらっしゃいます。

食事がまずいなど罵倒するひとも少なくないと聞きます。そんなひとに対して、食事指導をするのはいくら仕事とはいえ大変です。

  • どうしてこのような味付けなのか。
  • どうして咀嚼して食べることが大事なのか。
  • 好き嫌いの範囲でなく栄養として摂取するたいせつさ

このように、管理栄養士としての立場からわかってもらうように指導します。

そんな光景を見て大変だと感じているようです。

施設によっては調理師さんも食事指導の応援をされているようです。

栄養士というか調理員

これは私の同僚の奥さんの話がメインとなります。

同僚の奥さんは委託会社の管理栄養士をされて8年になるそうです。奥様からのはなしでは、管理栄養士は名ばかりでほとんど調理員さんといっしょに厨房で大量のあせをかきながら仕事をしているそう。

自称『盛付士(もりつけし)』だそうです。

食材原価があがり手作り率が上がるはなしをしましたが、その犠牲のほとんどが栄養士さんです。

本来の職責である『栄養・食事管理を通して健康維持と増進を指導する』ことが、軽薄となり調理にも携わることでブラックな環境になっていきます。

調理師さんは管理栄養士さんをどう思ってるの?2つの立場から徹底解説

料理人
料理人

いっしょに仕事する機会は

少ないですが、尊敬してます!

料理人が栄養士に頂いていること
  • 尊敬
  • 料理人より責任感がある
  • デスクワークが多そう
  • 女性が多い
  • 給料が良さそう
  • 頭のかたい人が多そう
  • 美味しさ重視じゃないから面白くなさそう
  • 仕事の幅が広そう
給食の<br>調理師さん
給食の
調理師さん

デスクワークと現場の両立が

大変だと思いますが、

これからもよろしくお願いします。

給食調理員が栄養士に頂いていること
  • 尊敬
  • 献立を考えるが大変そう
  • 予算内での献立が大変そう
  • 患者への食事指導が大変そう
  • 栄養士というか調理員

栄養士さんと仕事をしたことのない『料理人』さんと、日々連携を取っている『給食の調理師』さんがどう思っているのかを調査してきて共通してわかったことがあります。

それは、

栄養士さんを尊敬している

ということ。聞き込んでいくうちにそれはすごく伝わってきました。

料理人さんは、一緒にしごとしたことがないひとばかりで漠然とした思いでしたが『賢そう・あたま良さそう』という言葉もちらほら出ていました。

反面、ネット上で栄養士さんのブログを拝見するとストレスや悩みが絶えないようです

私たちから見るイメージと実際はかなり違うのかもしれません。

安心安全な食を支えている『栄養士』さんと、『調理師』さんはこれからもっと活躍の場を広げてもらいたいと思っています。

責任ある2つの職はもっと待遇や職場環境を改善すべきだと考えています。

しょく選び.comは『食』に携わるすべてのひとを応援しています。

こちらの記事は『料理人あるある』を掲載しています。

あなたの職場で、こんな調理師さんはいませんか?(笑)

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