病院給食に興味があっても「一体どんな仕事をしているんだろう?」
と疑問に思ったことはないでしょうか。
実は病院の調理現場は、他の職場とは一味違う独自の難しさがあるんです。
この記事を読むことで、病院給食の”仕事内容”と”特有の悩み”を解決できます!
長年調理師として活躍し食品メーカーへ転職した筆者が、病院給食に従事する栄養士さんや調理師さんに聞き込みした結果をまとめています。
最新情報を発信していますのでぜひ参考にして下さい。
総合病院の調理員として15年勤務されてる向井さん(仮名)のインタビュー記事も見てね。
少しだけ特殊な仕事です
病院調理師とは
病院調理師は、医療施設で入院している患者さんのために食事を提供する役割を担う職種です。
街のレストランやホテルの調理師とは違って、患者さんの体調や治療に合わせた食事を作るのが大きな特徴です。
提供する相手が「お客さん」と「患者さん」で仕事内容もかなり違ってきます。
病院調理師の主な仕事内容
- 食材調理
- 食材切り出し
- 患者さんごとの調理・調味
- 盛付
- 配膳
- 清掃
病院調理師は、管理栄養士が準備したメニューをもとに、患者さんの体調や食事制限に合わせた料理を作ります。
調理だけでなく、厨房の衛生管理や食器の洗浄、そして食事の配膳、食事の介助もすることもあります。
病院には、様々な病状や治療を受けている患者さんがいるので個々の患者に適した食事提供が大切になってきます。
つまり病院調理師の最大の役割は、
管理栄養士さんと一緒に患者さんの”体力回復”と”健康維持をサポート”をする事です。
病院で提供される食事の種類
病院調理師が提供する食事は、大きく分けて「一般食」と「特別食」の2種類に分かれます。
- 一般食:通常の食事。または消化に優しい軟らかい食事や流動食、飲み込みやすい形状の食事。
- 特別食:糖分や塩分、脂質、カロリーなどを調整した食事。患者さんの病状や治療計画に応じた制限がある。
一見むずかしそうに見えますが、管理栄養士さんが調理内容をしっかり指示してくれるのでその指示に従って作業していけば全く問題ありません。
労働条件と勤務時間
病院調理師の多くはシフト勤務で、おおよそ5時〜21時の間で早番と遅番の2交代、もしくは3交代が一般的です。
通常の飲食店と比較すると、配膳後の小休憩など体を休める時間がしっかりと設けてあるので働きやすい環境だと言えます。
早番→ 5:00~16:00
- 朝5:00出社
前日仕込みのお味噌汁・ごはん・1品料理を調理
- 8:00朝食 配膳
全ての患者さんに盛付し提供
その後、小休憩で朝食
- 9:00片付け
朝食分の調理器具、皿洗いなどの洗浄
- 12:00昼食 配膳
メインは遅番、補佐的役割
- 13:001時間の休憩
昼食と休憩室
- 14:00夕食、翌日朝食の仕込み
食材切り出し、火入れなど
- 16:00退社
早番は、朝早く午後の早い時間に帰宅出来るのでお得な感じするかもしれません。
そして患者数(食事提供数)が100人規模でも早番は2人程で作業していかないといけないので、朝5時からと言ってもフルアクセルで仕事をしなければ間に合いません。
早番の重要なポイントは
一緒に早番担当する相手との相性です。たった2人(限られた人数)で朝食までフルアクセルで作業をこなしていくのでチームワークや段取り、人間関係がすごく大切になってきます。
遅番→ 10:00~19:00
- 10:00出社
当日昼食の汁もの・ごはん・1品料理を調理
- 12:00昼食 配膳
全ての患者さんに盛付し提供
その後、昼食と1時間の休憩
- 14:00片付け
昼食分の調理器具、皿洗いなどの洗浄
- 事務処理
食材発注、残食確認、検食など
- 16:00夕食、翌日朝食の仕込み
食材切り出し、火入れなど提供の準備
- 18:00夕食 配膳
全ての患者さんに盛付し提供
- 19:00退社
遅番は10時ころの出勤で朝は割ととゆっくり出来て、昼食と夕食の準備がメインになってきます。
早番の2人と合流し昼食を一緒に提供し、夕食の仕込みや準備をします。
10時に出勤して13時~14時頃に早番の人と昼食をとった後、退社19時までノンストップで作業をこなすので後半の仕事が長く感じるかもしれません。
同じ悩みはないですか?
病院の調理師がつらい理由
街のレストランで働く調理師との違いはたくさんあります。
病院給食ならではの、特に違うところを解説していきます。
人間関係の悩み
最大の特徴は女性が多い職場ということです。
そして早番・遅番で2人ペアになりやすいことです。
いわゆるお局(おつぼね)さんがいる職場も多くあると思います。
- 仕事がテキパキ出来て指導によねんがないおばちゃん
- 超まじめ イレギュラーは受け付けない真面目おばちゃん
- 陰口・悪口大好きおばちゃん
- 若いイケメンが大好きなおばちゃん
- おしゃべり大好きおばちゃん
- ずっと静観しているおばちゃん…など
病院調理現場ではとにかく段取りや作業スピートが大事になってきます。
そんな中、早番のペア2人がギスギスしていれば全体の業務に支障がでることは間違いありません。やっぱり、この人苦手だなと思っても仕事と割り切って我慢しなければいけない状態が続きます。
ただ、『我慢』で乗り切れればいいですが無理な時もあります。
具体的な解決策は、
嫌いな人でもとにかく割り切って話しかける
相手を認め褒める
年上や先輩であれば、その人より早い出勤をして準備をする
全員がコミニュケーションを取れるゆるい場所を用意してもらう
上司に相談する
最後の「上司に相談する」というのは、最終手段でしかも効果は期待されない職場が多いので悩ましいところです。
定期的なミーティングや意見交換の場を設け、意思疎通をして少しづつ解決していきましょう。
幅広い年代が一緒に仕事をするので、年代が異なるスタッフ間での意見の違いも揉める原因の一つです。
異なる世代間で意見が対立することは、新しいアイデアを採用したりするときは食い違うこともありますが、お互いの意見を尊重し合うことで、より良い職場環境を作っていくことができます。
指導方法の違いもまた、ストレスの原因となることがあります。特に未経験者や年上の方に対しては、相手の目線に立った指導が大切で、それぞれの理解度に応じたアプローチが効果的になります。いわゆる「言い方」を気をつけることで仕事が円滑に進んでくれます。
女性が多い環境ではいじめや陰口と言った事象はゼロではないと思います。調理責任者である調理師さんがこの小さな組織をうまくまとめる事が大事になってきます。
和気あいあいとした雰囲気を作るために全メンバーとコミニュケーションを取ったり、ポジションの不満が溜まらないようにマニュアルを作成したり、一緒に食事をしたりすれば少しづつ改善の糸口は見えてきます。
体調管理に気を付けないといけない
院内へ出入りする為、感染症対策といった管理意識は徹底されています。
コロナ過でもあったように出勤時の体温、体調管理チェックは今も必須です。
小さなお子さんをお持ちの場合、保育園・幼稚園でもらうRSウイルスのウイルス性には十分注意が必要です。とは言っても、家族で住んでいる以上うつらないようにすることは難しいと思います。
なので、あなたや家族が体調管理を徹底したとしても外的要因もあると思います。
管理に厳しい病院側の要望にストレスを感じてくる場面も多々あるようです。
コロナ過、仕事の関係で料理が美味しいと評判の産婦人科に伺った際にベテラン調理師さんと話す機会がありました。
急遽ビジネスホテルに泊まったというエピソードを紹介します。
調理師さん
コロナ過はほんとに大変でした
こどもの熱が出て検査で病院へ。結局インフルエンザだったけど結果がわかるまで2日間ホテルに泊まりました。新型コロナウイルス最盛期だったこともありますが、病院で働く意識の高さをあたらめて感じました。ただ、初めての経験だったので当時は、仕方がなかったなと感じています。
経験のない新型コロナでしかも、初期の段階だったので過度な対応だったと今は感じるかもしれません。とは言え、病院としては感染症の院内感染は絶対に防がなければいけません。
今も病院ごとにルールを設け対策管理しているところはたくさんあります。
本人だけでなく家族の体調管理も重要な職場
調理責任が重い
調理レシピは管理栄養士からの指示で調理を進めていきます。
患者さんそれぞれの症状に合わせた調理と調味、食物アレルギーの配慮、栄養成分重視の調味、治療食を作っていきます。
調理指導通りに進めないと患者さんの体調が悪くなる可能性が十分考えられます。
病院の規模が大きくなればパートさんも多く、指導する立場になります。調理師ひとりで調理するにはいいかもしれませんが指導責任も加わってきますので責任ある仕事です。
命に係わる調理と指導
個別調理 覚えることが多い
患者さんがそれぞれ違うと違うと説明しましたが、大学病院や総合病院となると個別調理が増えてきます。
重要な個別調理の場合、栄養士さんが直接作る病院もあります。
個別調理は一言でいえばめんどくさいと言えるでしょう。
だからこそ知識や技術のある調理師が必要となります。
個別調理の患者さんたちは入院・退院、そして新たな患者さんの入院…と入れ替わりで続くので日々覚えることが続きます。
ただ、栄養学的な配慮は栄養士が担当しているので、具材の大きさ・柔らかさを特に注意していけば問題ありません。
調理師さん
栄養士さんとの
コミニュケーションも
大事ですよ
具材の大きさ・柔らかさに注意
栄養士との関係がつらい
管理栄養士または栄養士さんとの関係がぎくしゃくする場合もあります。
管理栄養士さんも国家資格ですが調理師と比較しても勉強量が違います。難しい試験を合格して責任ある仕事をしています。
そういった意味で、筆者の場合は尊敬する思いと同時に『食』に対する考えの違いを感じています。
もしあなたが街のレストラン調理勤務からの転職であれば、
『美味しさ重視』と『栄養重視』の違いにギャップを感じるでしょう。
例えば、塩分を抑えても完食できる調理をしてほしいなど。いくら栄養バランスの良い食事を提供しても完食しなければ意味がないからです。
病院給食の基本は、患者さんの栄養バランスがすべて。
その次にあるのが、美味しさと捉えましょう。
病院では栄養士の指導に従う事
気になる時給と給料のはなし
病院給食の労働環境
病院調理師の年収
仲のいい調理師さんでも年収を聞きこむことは出来なかったので、一般求人から調査した金額は、、、
年収で320~400万です。(従事する病院または委託会社により差があります)
月収にすると24万~29万ほどとなります。
病院調理師の待遇
病院給食に従事する場合、属するところが2つあります。
直営
『直営』か『委託会社』かになります。
直営は文字通りに病院が直接経営している食事提供です。今は直営している病院はかなり少なくなってきた印象があります。直営の良いところは、栄養士や調理師さんはじめ施設全体が料理に関心があって『食』を楽しみにしている事です。とある直営病院給食では、退院時に豪華なおかずをサプライズで準備されています。
また、栄養バランスが取れた美味しい食事をコンセプトに新メニュー試食会をされているところもあります。
病院経営なので福利厚生はもちろん給与面でも待遇評価の高い場合が多い傾向にあります。
委託会社
委託会社で有名なのが、日清医療食品さんやシダックスさんです。
委託の場合は雇い主は委託会社となり病院側ではありません。ですので待遇は企業によって変わってきますので確認が必要です。主に栄養士さんのニーズが高く、栄養士さんも積極的に現場で調理をしている姿をよく見かけます。
私の同僚の奥さんは栄養士で、院内給食の委託会社で働いているのですが自らを
『盛付け士』を称しています(笑)
組織が大きいので待遇もよく、福利厚生も手厚いですし育休も積極的に進めてくれる企業が多いです。
現役病院給食で働く人の仕事内容
今回仕事内容を聞き込んだ先は、
常時10~16名入院数がある開業医さんの『産婦人科』調理師Iさんに伺ってきました。
正社員としてメインで働く調理師Iさんと、2人のパートさんで調理をされています。
6年開業医の産婦人科で働かれている50歳男性Iさんに1日のスケジュールをうかがいました。出勤は9時半、帰宅は遅くても19時とのこと。患者さん人数もそこまで多くないので時間に追われることは少ないそうです。手作りが基本で、例えばマヨネーズも手作りで仕込んでいるとのこと。
6年勤務 Iさん
なるべく調味料も手作りで
心がけてます
【食材の仕入れと仕込み】
食材の洗浄、皮むき、カットなどの
下準備食材の計量および仕分け
煮る・焼く・蒸す・揚げるの基本調理
【食器の準備と片付け】
食器やカトラリーの準備、
配膳食器の洗浄、消毒、保管
【配膳・下膳】
患者への食事の配膳および
下膳食事の配膳車の管理
【清掃業務】
調理場および配膳エリアの清掃、
消毒ゴミの分別および廃棄
【食材の在庫確認】
食材や調理用品の在庫確認食材の
発注および受け取り
【栄養管理補助】
個別:患者さんごとの献立作成
来月の献立作成
Iさんの勤務体系からわかるように、病院給食のメリットは残業がほとんどないことです。
通常のレストランと違って生活スタイルが確立されていて長時間労働という指摘はほとんど聞きません。
- 9:30出社
健康管理チェック、作業着着替え、当日分配膳数の確認
当日分の調理や盛付
明日分の仕込み、食材切り出し
- 12:00昼食提供
温かいもの、冷たいものを意識して提供
例:天ぷらうどんの海老天は提供直前に揚げる
院長先生、職員へも提供4~6人分
- 13:00昼食片付け
食器洗浄機、調理器具洗浄
- 14:00食材仕入れ
患者人数が多くない為、基本的にはIさんが仕入れ
- 16:00休憩
休憩室または車で休憩1時間
- 18:00夕食提供
調理と提供 片付けなどはパートさんにお任せ
- 18 :30退社
- 19:00帰宅
通常の病院給食の調理師・調理員も、8時間の労働時間がほとんどです。その代わり、段取りや手の速さはある程度必要になってきます。
患者数が多い病院は栄養管理長さんの指示のもと組織的にシフトは考えられています。
逆に言えば残業しがちなのは栄養士さんたちかもしれません。
病院調理がイメージできる動画
沖縄県にある南部徳洲会病院さんがわかりやすい病院給食の動画を24年の1月にアップされていますのでこちらも参考にして下さい。
給食業界は安定業界
病院給食業界は手堅い成長
給食業界は外食と比べてコロナ過や景気などの外的要因を受けにくい業界です。それは、毎日決められた食数を提供するため経営が大きく沈むこともなく、手堅いというのが理由。
病院の数の減少で病院給食や産業給食は縮小傾向ですがこれからも、底堅く推移することは間違いありません。
こちらは「中食」「給食」「外食」規模推移を示したデータです。
【給食業界の市場規模は、2.9兆円】
引用元:日本食糧新聞・電子版
「外食」は毎年大きなブレがあるが、「中食」「給食」は大きなブレがない
グラフを見ると、
は規模の拡大縮小はないものの安定した需要(2.9兆円)を保っています。その中で病院給食は7,400億円を占めています。この安定感から大手外食企業も参入しており、今後より良い条件の求人を見つける事が出来るかもしれません。
つまり今までの国内大手である日清医療食品やエームサービスさんではない企業が参入し人材確保合戦が繰り広げられるため、病院調理師の単価が上がっていくことが期待されます。
その為にはアンテナを張っておく必要があるので、フーズラボへの登録と求人のチェックはしておきましょう。
外食企業の参入で、調理師・調理補助の待遇が上がる可能性がある
給食事業を展開する国内外の主要企業
参入を決めた大手外食企業
コロワイド
”牛角”や”フレッシュネスバーガー”などをM&Aで傘下に収めて事業を拡大してきた企業。
給食業界にもM&Aで参入してきておりこれから”業界の異端児”となるのを期待しています。
既存の国内大手企業
日清医療食品
業界最大手でチェアは約3割。介護・医療系に強い。
- 売上高…3,503億円↑
- 営業利益…145億円↓
- 拠点数…5,500ヵ所
一富士フードサービス
日清医療食品傘下
- 売上高…544億円↑
- 営業利益…16億円↓
- 拠点数…2,300ヵ所
エームサービス
三井物産の社食が発祥、米大手との合弁会社だったが23年に三井物産が100%子会社化。
- 売上高…1,917億円↑
- 拠点数…3,900ヵ所
メフォス
エームサービス参加。病院、福祉施設の給食に強い。
- 売上高…598億円↑
- 営業利益…19億円↑
- 拠点数…1,932ヵ所
LEOC
外食、医療系施設、横浜FCの運営元。ONODERAグループの中核。
- 売上高…1,309億円↑
- 営業利益…44億円↓
- 拠点数…3,000ヵ所
グリーンハウス
独立系の大手、ホテルや外食「とんかつさぼてん」を運営。
- 売上高…1,270億円↑
- 拠点数…2,700ヵ所
富士産業
病院、福祉施設の給食に強い。
- 売上高…868億円↑
- 拠点数…1,900ヵ所
魚国総本社
大阪地盤で求職業界の草分け的存在。
- 売上高…660億円↑
- 営業利益…5.6億円↓
- 拠点数…2,500ヵ所
コンパスグループ・ジャパン
セゾン系の西洋フードシステムズが源流。
- 売上高…697億円↑
- 拠点数…1,500ヵ所
シダックス
現在はオイシックス・ラ・大地の傘下。
- 売上高…519億円→
- 営業利益…22億円↓
- 拠点数…1,800ヵ所
日本ゼネラルフード
中部地区地盤の大手。
- 売上高…372億円↑
- 拠点数…1,000ヵ所
世界的に展開する企業
コンパスグループ
世界首位、英国発祥。世界役35か国に展開し米国が売上の6割を占める。
- 売上高…6兆0,684億円↑
- 純利益…2,569億円↑
ソデクソ
フランス地盤の受託給食大手。
- 売上高…3兆8,077億円↑
- 純利益…1,335億円↑
アラマーク
アメリカ地盤の受託給食大手。
- 売上高…2兆9,382億円↑
- 純利益…1,050億円↑
売上高や営業利益・純利益から見る考察
これらの大手企業の売上高を見ると、おおむね↑伸びているのがわかります。それは、今まで直営だった病院や施設が委託に移行したことが大きな理由と考えています。
反対に営業利益や純利益が減っているのは、食材仕入れ価格の高騰、人手不足から給与額の引き上げ、最低賃金の引上げが関連し企業の利益が減少しているという状態です。
いずれにしても給食業界は安定した業界であることには違いありません。
高齢化にともない需要も安定してきます。
そうなれば、調理師・調理補助さんの人材不足となり待遇が上がる可能性があると見ています。
よりより職場が近くにあるのに、我慢して続ける必要はありません。
まずは飲食特化エージェントに依頼して注視しておきましょう。
参考資料会社四季報オンラインより
最新の病院給食事情
病院食といえば味が薄い、美味しくないとよく聞きますが最新の取り組みとして、患者さんの為の美味しい病院食コンテストを実施されているようです。
病院も経営ですし食事に対する患者さんの意見もしっかりと聞き込み姿勢になってきたのかもしれません、委託企業側も特色を出していくうえで『美味しさ』は差別化する大きな要素となっています。
患者さんが喜ぶ病院食の取り組みは、以前よりありました。
今では大学病院や総合病院も栄養バランスに配慮した上での美味しい食事に、ちからをいれています。
調理師におすすめの病院給食
調理師の知識と技術を発揮できる病院給食はずばり上の4つです。
つまり患者さんの食事制限が少なく普通に食べるコトができる人が入院している病院です。
特に、開業医産婦人科では既に美味しい食事を謳っているところも多くあり人気です。
私の妻も食事が美味しいと評判の産婦人科を利用しましたが出産後1週間とにかく美味しいご飯が食べれたと満足していました。体調により食べれれない時もあったらしいのですが、かなり残念だったみたいです。
退院前日の夕食はステーキが出たみたいです。ソースも市販っぽい感じではなくフランス料理に出てくるような本格的なソースで驚いていました。
筆者の調理師仲間が、食事がとにかく美味しいと言わてれいる産婦人科福田病院さんへ就職しました。そこは和洋仏の料理を提供していてまるでレストランのようなメニュー構成なんです。
彼から聞いた話では患者さんのアレルギーや体調を踏まえて提供するのが大前提。でも、普通の病院食とは全く違って本格的なレストランの調理をしているとのことでした。
周りの調理に携わるひとも、プロの料理人ばかりであまり病院にいる感覚がないと話してくれました。
ティータイムやデザートの時間を設けスイーツも提供されています。筆者の調理師仲間の彼は、料理しか出来なかったのですがここで、デザートを覚えたほどです。
このように、料理にこだわり患者さんに喜んでほしいと考えている病院は調理師が絶対に必要ですし、おすすめです。
病院で働く調理師・調理員のメリットとデメリット
病院給食で働くメリット
- 安定した勤務体系
- 病院や委託会社によって福利厚生が充実
- 好きな仕事が活かせる
- 調理師資格条件の実務経験(2年)が取れる
- 病院によってはレストラン並みの調理が出来る
- 栄養学も学べる
飲食レストランと違って、ここの○○料理が美味しい・人気○○店・儲かるなどの視点はないですが安定した勤務体系というのが大きな魅力です。
料理が好きで、安心して食べてもらいたいという意識が高い人は合っていると思います。
栄養学に重点を置く職場ですので、食材の知識や効率よく栄養素を摂取できる調理など知識は増えていきます。
産婦人科で提供されている病院食のように、『美味しい』にフォーカスした病院もありますので自分にあった選択が出来ます。
病院給食で働くデメリット
- 体調管理に気を付けないといけない
- 調理責任が重い
- 個別調理 覚えることが多い
- 栄養士との関係がつらい
- 立ち仕事
飲食店営業から転職する場合、一番戸惑うのが『栄養士との関係』です。
管理栄養士はシェフや料理長と同じと思ってもらっていいかもしれません。ただ、目的は患者さんの回復を一番に考え、安心安全な食事提供をすることに重きを置いているという事です。
今までと違い、お客さんは『患者さん』ですので、はき違えないようにしましょう。
安心安全な調理に徹していればまったく問題ありません。
ネット上にはないリアルな情報を得るためにより深堀した取材をしています。
今回は『総合病院の調理勤務している向井さん』に伺ってきました。
病院調理員として15年勤務されている向井さん(仮名)42歳に簡単なインタビューをさせて頂きました。
包み隠さず本音で答えてくれてますので参考にして下さいね。
□向井さん(仮名)42歳男性
□調理師学校を卒業後、他の飲食勤務を経て今の病院へ転職
□15年の勤務
□病床数310 実際はだいたい200人ほどとの事
なるべく取材した相手の言葉で記すようにしています。
42歳
15年、調理補助してます
勤務体系を教えてください
委託業者として勤務。今は6時~15時まで。
早い時間とと遅い時間の2交代。朝食の準備と片付け、昼食の準備と片付けがメインです。
調理補助で大変なことを教えてください。
患者さんに合わせて準備をしないといけないこと。それだけ。
昔は全部手作業で準備していたけど、今センターで加工した真空パックが届くからかなり楽になった。
特別な治療食とかは気を使うし、数がないからこぼしたりしたら大変です。
あと、体調が悪くなった時は大変。わたしが休みだった場合、急に出勤しないといけなくなるし、シフトを考えないといけないし…その場合を想定して準備しないといけない。
調理補助の仕事のいいところはなんですか?
だいたい8時間労働で終わること。
普通にやっていればむずかしいことはないよ。うちは、自由に有給も使えるから子供のイベントも普通に行ってる。
病院給食の調理員として検討している方にアドバイスを。
給料はそんなに期待しない方がいいかも。でも、労働環境はわりといい。
食材を切ったり、大量に炒めたりと重労働と思っているひとも多いと思うけど、うちはセンターで真空袋に入った食材を温めて盛り付けているのがほとんど。段取りと盛付の手早さだけ考えれば大丈夫だと思うよ。
病院給食で働いているひとはほとんど女性だから気楽に働けている。栄養士もパートさんも女性が多い。うちの病院はみんな優しいひとが多い。
以上です。ありがとうございました。今回、総合病院調理員の向井さんにインタビューをさせて頂きました。ご協力ありがとうございました!また現役で働く病院調理師さんのインタビューはこれからも継続するのでその都度追記していきます。楽しみにしていて下さい。
病院給食の応募求人には資格が必要?無資格でもOK?
病院の調理師(調理員)の応募資格は基本的に求めている施設はありません。
調理師免許がなくても病院給食(院内給食)での調理勤務は出来ます。
その上で調理師の資格を保有していれば即戦力として見てもらえますし衛生管理の知識があると認識されます。
資格を持っていなくて調理員として働きながら調理師資格を取ってキャリアを積むという方法もあります。
病院調理員になる為には、ほとんどの場合調理師資格は必要ない。
病院で調理の仕事に就くにどうしたらいいの?
病院調理師の就業手順
病院給食の調理現場で働く方法を解説していきます
入職にあたっては、特に学歴や資格は問われません。
新卒者は主に調理師学校などからの紹介で入職することが多く、中途採用は転職サイトやハローワークを通じて行われることが一般的です。
パートやアルバイトの募集も多く見られます。
給食調理員の仕事は、多くの人に継続的に食事を提供するため、特に衛生意識が重要です。
また、少量の調理から1,000食以上の大規模な調理まで対応するため、各種調理機器や道具を正確に使いこなす技術も求められます。
企業で管轄している事業所給食では、入職後約1年で基本的な業務を習得できますが、病院や介護施設、保育園などの特殊な給食にはそれ以上かかる場合もあります。
時間がかかる理由は、多くは食物アレルギー及び衛生管理の知識を必要とするからです
病院で調理員として働きながら調理師、専門調理師、栄養士などの資格を取得し調理主任や給食施設の責任者を目指す道もあります。
関連する資格として、厚生労働省の「調理技能士」の技能検定があります。この資格は調理師資格を保有していなければ受けることは出来ません。
病院給食の調理員になるには、学歴や資格は問われない
病院の調理師ってきつい・大変なの?まとめ
病院給食のつらい・大変なところは主にこのような理由と言えます。
調理師の中でも料理を感覚で作るひとと、レシピに沿って完璧に作り込むひとがいます。
感覚のひとはおそらく病院給食には向かないと思っています。逆に論理立ててきちっと計量をするタイプは向いています。それは、病院給食においては確実な仕事で安心安全な調理をしてほしいから。
向いていると思った方は調理特化エージェントに登録して、病院給食の調理師求人
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