食に携わる仕事をして早24年以上の筆者。消費者側と提供側の視点を持っていると自負しています。
今記事の、確実に美味しいお肉を選ぶ方法を覚えてお肉を購入すると、家族全員がみんな笑顔になります。その知識でこれからの食卓をより豊かなものになるかと思います。皆が楽しみにしているお肉なので確実に美味しいものを選び購入しましょう。
美味しいお肉=良いお店選び
お肉を選ぶ前に、良いお店を選ぶpointを幾つかご紹介します。よく使うスーパーと比較してみて下さい。
point1 牛肉の取り扱い量が多い
牛肉売り場が多いお店は、牛肉に自信があるという意思表示でもあります。和牛、国産牛だけでなくリーズナブルな輸入牛も扱うところはそう多くありません。単価の安い鶏、豚または輸入牛のフェースを多く取った方が売上も安定します。ほとんどのチェーンスーパーはこのような売り場がほとんどです。
追記をすると、和牛、国産牛の赤身部分は鮮明な赤、脂身部分は黒ずんでおらず鮮明な白である事もポイントです。そして確実に本物の牛脂を無料で売り場に置いてくれています。やたらと白く袋に入った牛脂も見かけるのですが圧倒的に味に違いがあります。本物の牛脂をもらいましょう。
point2 ドリップの有無
まず鶏肉からチェックしましょう。鶏肉は畜種の中で1番水分量が多くドリップ=肉のうまみが出やすいのです。特に注意するべきなのはブラジル産もも肉です。これは基本的に内容量2㎏の冷凍(240g-260gサイズ、200gUP以上など規格は様々)を袋のまま解凍し、ドリップを取りトレーに入れています。そういった作業を経てもなお、売り場のトレーにドリップがあれば日数が経過したものか、解凍後のドリップ処理が不十分かのどちらかです。
豚肉はもも肉が水分量が多いとされていますが鶏肉ほどではありません。調理したらやたらと水分が出てきた豚肉の覚えはないでしょうか。注意して見ないといけないのは夏の時期で”水豚”という個体があります。これは気温が高くなる夏前から起こるもので豚さんも暑いため水をたくさん飲んでしまいます。その後、処理されスーパーに納品されます。知識のないお店は水を多く含んだ豚肉をそのまま販売してしまう事になります。良いお店は納品された時点で返品要請をするか、冷蔵庫で数日締める作業を行い、適度な水分量になった時初めて売り場に並べているのです。
牛肉は全般でドリップは出るのですが、豚肉のように納品時ドリップがあるようだったら肉を締める処理をされています。牛肉は単価が高い畜種ですのでほとんどで手厚い処理をしていますが、処理が悪いお店はドリップが出ているという事です。
point3 ミンチ材のトレーが透明トレー
お肉はそもそも、空気に触れると酸化が進み変色しドリップも出ます。ですので牛肉と豚肉の合挽ミンチは変色しやすいですし、ミンチ機械に通している時点で熱を帯びています。ダメージを受けやすい部位である事を理解した上で、”うちは新鮮ですよ。しっかり色を見てくださいね”というmessageが込められているのが透明トレーなんです。自信があるという事ですね。
追記で、point1の牛肉売り場が広いという事はミンチ用牛肉に国産牛または和牛を入れてくれている場合が多くあります。ミンチ材原料の基本は牛豚問わず赤身で硬い部位(すね、筋、もも)を5:5程度で配合しています。その牛肉がうまみの濃い国産牛や和牛であれば美味しいに決まっていますよね。ミンチが美味しいというのもpointです。
point4 極薄 豚しゃぶしゃぶ が綺麗に盛り付けてある
一般的なスーパー精肉部の畜種売上構成はハムソーセージなどの加工品類を省いた場合、牛:豚:鶏で2:5:3くらいです。もちろん企業、お店で一概には言えませんが豚の比率は高いです。その豚で扱う量が多いのは、小間切れ→ロースとんかつ用→モモ乱切り→バラスライス・ブロック→スペアリブ→ヒレです。作業的にはスライサーを使ってとにかく手間を掛けずにパックしていった方が楽なのです。極薄しゃぶしゃぶは薄くする為に、通常のしゃぶしゃぶより作業回数が倍以上かかります。それを承知の上でお客さんのニーズに沿って綺麗に盛り付けて提供しているお店は絶対いい店なのです。
肉は部位によって特徴があるので、適した調理法もそれぞれ。
豚肉の部位|もっと知りたい!お肉のこと|日本ハム株式会社 (nipponham.co.jp) 日本ハム株式会社サイトから引用
特徴を活かしたおいしさを味わうことで、よりお肉料理を楽しむことができます。
◇牛肉の取り扱い量が多いのは肉に自信がある証
◇適切処理、管理体制がしっかりしているお店はドリップがない
◇合挽ミンチに透明トレーを使っているお店は意識が高い
◇極薄しゃぶしゃぶ用の常設売り場があればお客様ファースト意識が強い
本題 確実に美味しいお肉を選ぶ方法
信頼出来るお店で選ぶ
前述した通り、基本となるのは信頼と安心がおけるお店を選ぶ事から始まります。町の精肉店、スーパー精肉店でも考え方は同じでpointを見極めた上で美味しいお肉を選んでいきましょう。
賞味期限の新しい肉を選ぶ
お財布事情もあるかと思いますが、生ものですので鮮度がいいもの=美味しいです。一般的に売り場冷蔵温度は4~6℃設定ですので10℃以下で設定している場合で畜種ごとに賞味期限設定は違います。
特に、鶏肉は鮮度の良いものを選びましょう。理由はもともと他の畜種より水分量が多い事で腐敗が早いですし、身に生息しているカンピロバクターという細菌も住んでいます。しっかりと記載の賞味期限を守り中心温度まで確実に火を通して食べると全く問題ないのですが期限切れであったり、生の状態を食べるとそのリスクは高まり食中毒を起こします。調理の際、中心温度75℃1分以上が目安です。
- 鶏肉 業者納品時真空袋でおよそ7日程の設定、開封し売り場で1~2日後の賞味期限
- 豚肉 〃でおよそ15日の設定、開封し売り場で3日後の賞味期限
- 牛肉 〃でおよそ30日の設定、開封し売り場で3日後の賞味期限
- 合挽肉 ミンチ機械を通し売り場で1~2日後の賞味期限
余談ですが、バックヤード内の冷蔵庫、冷凍庫のスペースが少ないお肉やさんは鮮度の良いお肉を扱っていると確信しています。理由は簡単で在庫を置くスペースが少ないが為に回転を上げる必要があります。また仕入れ管理も必然徹底しており必要な分を必要なだけ仕入れており高いレベルで鮮度管理をされている印象が強くあります。お客さんからの視点ではなかなかその判断は難しいところですがそういった裏情報もお肉を選ぶpointです。
売り場から少し離して観察する
レジを通す時ふと見ると”あれ?”と感じる事もあるのではないでしょうか。売り場は商品を見栄え良く見せる為の照明が備え付けられています。仮に微妙な色でも問題なく見える事もあり1度手に取り照明の届かないところで吟味していきましょう。
鶏肉 透明感と鮮明なうっすらピンク色
ドリップの有無は見ればすぐにわかります。本当に美味しい鶏肉は色が艶やかで美しい色合いをしています。国産鶏もも肉の場合基本的にはすべて業者からチルド納品されリパックし売り場に並びます。ブラジルもも肉などは地球の裏側から来ているので当然冷凍です。一般的に国産がいいとされているのは流通の部分での鮮度を言っています、これは仕方がない部分ですね。そして大事なのは、管理体制で、いくら鮮度の良い国産鶏肉が納品されてもお店の取り扱いが悪ければ鮮度と質は当然下がります。
豚肉 テカりがない鮮明な色で、脂も鮮明な白
テカりというのは水豚をさしますが、納品業者も正直微妙な個体はわからないようです。肉を提供するお店の方がそれを選別し適切な処理をするのが良いお店です。購入金額が1番多い豚小間切れも同じ見方をします。小間切れはミンチの次に大事だと筆者は考えています。基本的に使う原体はもも肉を使っているのですが脂が表面にしっかりとあってトリミングを必要とします、このトリミングが下手だと脂肪が多く入っているパックが出ている事になります。もも肉は大きく内もも(肉質:少し固い)、外もも(肉質:固い)で分けられますが味はうまみがあり淡泊であっさりしています。トリミングしたもも肉をスライサーでスライスしていくのですが、良い店はここに肩ロースやお尻側のロースを入れてスライスしています。これは小間切れ=もも肉という概念ではなく美味しい小間切れを食べてほしいというお店がそうされています。ですので、小間切れも肩ロース部位が入ってるかなど、しっかりと見定める事が必要です。
牛肉 ドリップなし黒ずんでいない鮮明な濃い赤色
国産牛、和牛、輸入牛と牛肉は種類も多くその見方も様々ですが、全般に言える事はまずドリップがない事です。少し傾けてみるか、吸水シート(別名ドラキュラシート)に赤い肉汁が過剰に残っていないかを確認します。赤身部分では鮮明な濃い赤色である事。脂肪部分も黒ずんでいない綺麗な乳白色を選びましょう。
余談ですが、焼き肉商材で重なっている部分が黒かったり、手作りハンバーグの表面と中身の色が違ったりして”古くなっている”と感じた方がいらっしゃればそれば間違いです。そもそもミオグロビンという成分が空気と触れる事(酸化)でピンク色になっています。重なっている部分は空気に触れておらずむしろい良い態なのです。わかりやすいのはコストコなどで真空袋に入った塊肉が以外に黒っぽいなと感じるかと思いますが空気に触れていないからです。ですので、黒ずんでいるのはむしろ自然です。
確実に美味しいお肉を選ぶ方法
信頼出来るお店で選ぶ
◇賞味期限が新しい鮮度のあるお肉を選ぶ
◇売り場から少し離して観察する
◇鶏肉 透明感と鮮明なうっすらピンク色/ 豚肉テカりがない鮮明な色で、脂も鮮明な白/ 牛肉 ドリップなし黒ずんでいない鮮明な濃い赤色
まとめ
様々な見方をご紹介しました。大事な食事には、せっかくですので間違いがない美味しいお肉を食べたいですよね。正直、お店に納品されるお肉の質自体は大きな差はありません。差が出てしまうのはお店の管理体制がほとんどです。人がする仕事ですので、まずは良いお店から探す事からスタートしましょう。失敗しないように上記のpointを是非活用して下さい。
コメント