魚の歩留まり計算とその先の考え方
食に携わる仕事をして早24年以上の筆者。消費者側と提供側の視点を持っていると自負しています。
今回の記事を読んで得られる事は、歩留まり計算方法とその意義を理解出来る事。更には、もっと重要なその先の考え方を理解でき、部下や社内で的確なアドバイスをする力がつきます。
歩留=可食部重量÷元の総重量
もとも2㎏の魚を捌いた後1.2㎏となりました。その場合は1.2㎏÷2㎏=0.6(歩留60%)です。うろこ、骨、お頭、内臓といった廃棄してしまう部分を除いた状態(=可食部重量)を計量します。それをもともとの購入した魚の重量で割るという計算方法です。歩留が100%に近くなればなるほど技術力が高く、優秀な商品化が出来る人と評価されます。
歩留が良い、悪いの判断要素は2つ
1つ目は、先にも記載した技術による要素があります。例えば同じキロ1,000円の魚を購入し、Aさんが捌くと歩留まり60%可食部は600g、Bさんが捌くと歩留まり40%可食部は400gだったとします。
◆Aさん1㎏1,000円で購入600g身が取れた。
言い換えると歩留後の原価は1,000円÷600g×1,000=1,666円/㎏
◆Bさん1㎏1,000円で購入400g身が取れた。
言い換えると歩留後の原価は1,000円÷400g×1,000=2,500円/㎏
つまり歩留がよければよい程、原価は元の重量仕入れ原価に近くなり、悪ければ原価はおのずと上がってしまいます。同じ売価で販売する場合、Aさんのほうが利益額が大きく、貢献度が高いと言えます。
2つ目の要素は、魚そのものによる部分です。一般的に天然ものは養殖と比較して歩留は悪くなります。それは養殖ものはしっかりと餌をあたえ太らせた身の多い状態がほとんどだからです。
つまり歩留が良い事は”正義”
お魚でもお肉でも同じ考えです。歩留が良くなればなるほどもともとの仕入れ原価に近づくこととなり、同時に利益幅が上がります。加工品製造メーカーは、保水材などの原料を加え歩留向上を考え販売しています。例でいうと、もともと100gの原体を保水加工して120gにて100g198円で販売したとすれば、水と微量の保水材のおかげで20g(39.6円)分の利益確保が可能となります。微量かと思うかも知れませんが工場では沢山の商品を製造しているので大きな差となります。この保水材の記事は別記事で掲載します。原料価格高騰の昨今、販売側としてはいかに歩留を上げ利益を確保するかという観点で進めている事がほとんどです。
まとめ
歩留は利益確保の観点からみれば”正義”であり”必須事項”という事がわかります。歩留を通してその先の利益確保は非常に大事です。家庭の中で調理する際の歩留はほとんど家計に影響はありませんが、会社経営となると扱う量も多くなり歩留向上は重要課題です。そういった見方をしていけばおのずと意識が芽生え、技術向上の道筋となるのではないでしょうか。
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