筆者は現在食品関係の某有名会社に勤務している40代おじさんです。家族構成は妻と3人の可愛い子供たちの5人。当時26歳の春、イタリアレストラン勤務(コックさん)からの転職で現在の会社に転職成功し、勤め続けています。土日祝日休み、年間20日間の有休休暇、育休休暇14日、特別有休各種が充実しており、勤務時間も8時半から17時半の8時間労働(休憩1時間設定)で年収はおよそ520万となります。
当時26歳の私に対して今思う事は”良く決断したぞ”と褒めてあげたい。18歳から住み込みで料理の世界をがむしゃらに生き続けた8年間はかけがいのない時間でした。ですが、転職を決めて心の底からほんとに良かったと思っています。
えっっ父ちゃんは昔、料理人だったの!?
そうなんだ。お母さん!当時は相談してくれてありがと。今でも良かったと思っているよ。
父ちゃんが家にいる時間が長いと私も楽だからね(笑)
決断理由
労働時間超過
現在の法律では(労働基準法第36条)労働時間の上限は1日8時間、週で40時間。時間外労働には36協定が必要。今でこそ法律順守が飲食業界でも強く呼びかけられていますが当時2000年代で守られている事業所はかなり少なかったと記憶しています。ですので実際には下記グラフの時間割で生活をしていました。この記事を読まれている方は正直そこまで驚かないのではないでしょうか!?しかし一般的な方から見るとかなり異常ですよね。こんな生活をしていると死んでしまいます。
- 8時起床
- 9時出勤 即仕込み、または店内清掃
- 退勤は深夜0時(間に1時間程度休憩あり)基本ぶっ続けの15時間
- 夜中の1時に帰宅し自由時間3時間
- 夜中の3時に就寝 睡眠時間は5時間
36協定とは 簡単に分かりやすく解説してみた!
36協定とは 簡単に分かりやすく解説してみた! (kigyosapo.com)より引用
現在の1日の時間割がこちらです。人間らしい生活が出来ていて充実しています。
- 7時起床
- 8時30分前出勤
- 17時30分退勤 昼休憩として1時間含み8時間の仕事
- 18時頃帰宅し自由時間7時間 (通勤時間は片道30分)
- 24時就寝 睡眠時間は7時間
所得が低い
飲食業界あるあるですが、若い時代は給料なんて気にしないで技術や知識を得る為にがんばっているという昭和の文化が深く根付いており労働時間が長くて給料が安いなんてのは当たり前だと疑問に思う事すらありませんでした。うる覚えですが確か住居付き(3人住み込み)で初任給は15万円だったと思います。場所は大阪難波に近くおしゃれな地域でしたので、洗脳されていた当時としては良い方だったと思います。しかし、月日は流れ技術や知識を習得していきイタリア修行2年間を経た後でも長時間労働は相変わらずの状態、給料は25歳で28万くらいだったと記憶していますが、時給計算してみればどう考えても割に合いません。
業種分類 平均年収 全体 男性 女性 金融 469万円 572万円 394万円 メーカー 466万円 506万円 381万円 総合商社 464万円 525万円 374万円 IT/通信 446万円 478万円 393万円 建設/プラント/不動産 432万円 470万円 364万円 専門商社 424万円 468万円 361万円 インターネット/広告/メディア 423万円 469万円 381万円 メディカル 408万円 499万円 354万円 サービス 377万円 419万円 335万円 小売/外食 359万円 400万円 317万円 年収の高い業種は?平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】
業種別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版) |転職ならdoda(デューダ)
休みが少ない
基本的にはお店が休みの平日週一回、と隔週で休みを入れていくというもので実質、月で6日間です。もちろん有休という概念が存在しておらずこれも当たり前だと思い込んでいました。20代前半の若いうちは体力的に耐える事が出来るかと思いますが30代からは相当きつくなります。
しかも貴重な休みなのに、疲れてしまいほぼ1日ぐったりと過ごしてしまいます。子供たちは公園やプール、遊園地に連れて行ってほしいのに”疲れてるから…”を連発されたらどう思うでしょうか?
2022年調査について産業別にみると「複合サービス業」が72.4%と最も高く、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業」が71.4%、「情報通信業」が63.2%などとなっている。一方、「宿泊業,飲食サービス業」が44.3%と最も低く、「卸売業,小売業」49.5%、「教育,学習支援業」50.1%などとなっている。2017年調査と比較するとほとんどの産業で取得率は増加しており、とくに「建設業」(2017年調査38.0%、2022年調査53.2%)、「卸売業,小売業」(同34.9%、同49.5%)、「生活関連サービス業,娯楽業」(同38.9%、同53.2%)、「教育,学習支援業」(同37.2%、同50.1%)で5年前からの増加の幅が大きくなっている(図2)。
図2:産業別年次有給休暇の取得率
年次有給休暇の取得率 ―令和4年就労条件総合調査の結果から―(ちょっと気になるデータ:ビジネス・レーバー・トレンド 2023年1・2月号)|労働政策研究・研修機構(JILPT)より引用
燃え尽き症候群
イタリア修行を決断し単身イタリアへ。料理と語学の学校でビザを取得し、その後幽霊語学学校を申請して学生ビザで修行を継続しイタリア各地のレストランでコネをフル活用して働きました。ちょうどビザが切れる2年目で何か達成感のようなものが出てきたのを覚えています。いわゆる”燃え尽き症候群”と言われるものだと思いますが、私だけでなくある程度のレベルまで達し経験した方であれば、この感覚は少なくないのではないでしょうか。
結婚が出来ない
飲食店勤務で結婚されている方には大変申し訳ないのですが、当時は本気で思っていました。性格に言えば結婚が出来ないというよりも、幸せな結婚生活が出来ないというのが正しい表現です。先に述べたように長い労働時間、不規則な平日休日、割に合わない所得をイメージすると、どうしても結婚というステップには進めないと筆者は捉えていました。
土日祝日が休みの仕事であれば、妻と子供たちと一緒の時間を多く過ごすことが出来るし、自分の体調も心配する必要はなくなる。人間らしい生活で家族と過ごしたいなとイメージをしていました。
女性が結婚相手に求める条件
順位 条件 割合(%) 1 一緒にいて楽しいこと 80.0 1 一緒にいて気をつかわないこと 80.0 3 価値観が近いこと 78.5 4 金銭感覚 57.4 5 経済力があること 52.5 6 恋愛感情 46.1 7 親が同意してくれること 37.6 8 自分の仕事を理解してくれること 36.0 9 共通の趣味があること 31.2 10 家事分担 29.8 出典:平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版) 第2章 調査結果 <結婚観(1)>
結婚相手に求める条件とは?男女別データをランキング形式で紹介! – 婚活の教科書 〜おすすめの方法教えます〜 (konkatsu-textbook.com)より引用
最後は妻のひとこと
当時付き合っていた彼女(妻)が最終的に一押しをしてくれました。
やり切ったならもういんじゃない!?
仕事を替えても今の時代、好きな料理はどんな方法でも出来るよ!!
家族と居る時間が大事じゃない!?
確かに、YouTubeで配信したり、インスタで表現したりと得意な料理を表現できる場は沢山あります。実際、子供が出来てから子供会などで手作り釜で作るPIZZAをしたり、交流センターでパスタ教室をしたりと楽しくやっています(笑)
転職を決めた理由
◇労働時間超過
◇所得が低い
◇休みが少ない
◇燃え尽き症候群
◇結婚が出来ない
◇妻のひとこと
現在の生活
26歳で転職をして今に至るまで家族中心の生活をしてきたのですごく満足しています。改めて言いますが決断して良かったと思っています。飲食業界または専門料理の道を進んで後悔はしていないという方は沢山いらっしゃると思いますので否定は全くしていません。あくまで筆者の感想として捉えてください。私のように専門分野であれば、最終的な目的はお店を持つことだと思います。お店をもって営業されてきた勤務先や修行先の家族がすべて円満なのかと言えば少し疑問を持たざるを得ませんでした。そんな先輩方を身近に見てきたので家族中心の生活がしたいという感情が沸いてきたのかもしれません。
何を大事にするのか?を本気で考えれば必ず決断が出来るはずです!
あくまでも筆者の場合です。でも結果的にすごく満足をしています。大事な事は今いちど客観的に人生をとらえて考えるという事だと思います。是非、悔いのない人生を進んでいく事を願っています。
筆者の転職事例が参考になれば嬉しいです。
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