イタリアを訪れる際にふと思う事と言えば”イタリアはチップはいるのか、いらないのか”という事。筆者もイタリアへ2年間料理修行へ行く前に調べましたが実際のところかなり違う部分があったのでリアルな体験を記事にしています。また、修行の帰国から5年後妻とイタリアへ新婚旅行へ行った際のチップ事情も交えてご紹介します。
父ちゃん、チップって何?
なんで払う必要があるの?
アメリカではチップは接客業にとって大事な収入源なんだ。
イタリアの場合はどうなのか説明してくよ!
イタリアってチップは必要なの?
結論 必要ではありません(義務ではありません)
プーリア州に実家があるイタリアの友人ジャンミケーレからもしつこく聞いたので間違いありません。
まずチップはイタリア語で”mancia”マンチャと言います。イタリア文化の中で、マンチャは義務ではなく感謝を伝える手段だという事です、ですのでアメリカのようにその都度チップを渡すという風潮はありません。
相手が良くしてくれた行為に対しての対価(感謝の気持ち)なので機械的にマンチャを渡してしまうと言い方は悪いですが、かえって調子に乗って更に要求する場合もあります。地方で生活をしているとマンチャという文化はほとんどなく、ローマ・フィレンツェ・ナポリ・ミラノなどの大都市では観光客のチップを目当てにしている輩がいます。こんな表現をしていのは理由があって、皆さんイタリアへ行くと全てがイタリア人だと思われているかもしれませんが、かなり移民が多く生粋のイタリア人が接客サービスをするというのは少なくなってきたように感じます。ですので、一見イタリア人だと思ってもその人は外国から働きに来た移住者で稼ぐ目的だという事です。
感謝の気持ちなので、気持ちに素直にマンジャを渡してもOKです。その場合は5€~10€程度で問題ありません。可能であれば感謝を伝えたい相手の目をいて直接渡してあげましょう、必ず答えてくれます。
イタリアの消費税事情
イタリアでは、消費税として付加価値税(IVA)が導入されおり、このIVAには基本的には22%の標準税率が適用されますが、一部の品目には10%と4%の軽減税率が適用されます。
軽減税率4%は、生活必需品や文化的なアイテムに適用されます。例えば、食料品(パスタ、パン、野菜、牛乳、チーズなど)、医療補助器具、書籍、新聞などがこれに該当します。この税率は、イタリアの生活や文化を支える重要な事象、事例に対して適用されています。
一方、軽減税率10%は、生活には欠かせないが完全に必需品ではないものに適用されます。たとえば、米、卵、肉、魚、果物、薬、映画、建物などがこれに含まれます。また、バールやレストランでの飲食、ホテルの宿泊なども同様にこの税率が適用されます。
これらの税率は、商品やサービスの性質や社会的重要性に基づいて設定されているようです。日常の生活を支える重要なアイテムやサービスには低い税率が適用され、それによって一般市民の負担が軽減されることを意図しています。日本でもやっとなれてきましたが同じ感覚で問題ありません。
特に興味深いのは、観葉植物や映画など、文化的な豊かさを提供するアイテムが軽減税率の対象になっている点です。これは、イタリアが文化や芸術に対して高い価値として捉えている証拠ですね。
また、レストランでは店内飲食(イートイン)には10%の税率が、持ち帰り(テイクアウト)には8%の税率が適用される点も注目に値します。これにより、消費者がレストランでの飲食と持ち帰りを選択する際の税金の違いが反映されています。
Coperto(コペルト)
日本でいうところのお通しです。お会計をテーブルで済ますわけですが、レシートの中に内税されている付加価値税(IVA)とは別に、席のサービス料として加算されるのがCoperto(コペルト)です。町の大衆レストランからリストランテまで大体コペルトを取っていますが5€~10€が相場です。田舎の大衆食堂に行くとコペルトの記載がない店がそこそこありましたが決してサービスが悪いという事はなく料理も美味しかったですし満足しました。結局、需要と供給のバランスですね。
このCoperto(コペルト)の存在も知っておかないと、レシートをみて謎の10€が加算されていたら驚いちゃいますので認識をしておきましょう。お店によっては勝手にパンや水が席に座ってすぐに提供されますので”これがコペルトか”ぐらいに思っていただけたら大丈夫です。
チップを渡す場合 相場を確認
イタリアでのチップは必要ない前述しましたが、感謝の気持ちを伝えたいときには下記のシーンでの相場を参考にして下さい。これは実際に筆者が滞在していた頃にイタリア人の友人ジャンミケーレに君だったらどうする?という話と、新婚旅行中のシーンでの例なので参考にして頂ければと思います。
荷物を運んでくれるポーター
1人での旅行の場合は渡しません。
妻と2人でホテルチェックインした時は5€渡しました。というのも観光の場合おのずとそれなりのホテルに滞在するという事と、イタリアを含め外国は荷物の取り扱いが悪いのでその丁寧な行為に対しての感謝と、チェックアウトするときも頼むよ。という意味を含んでいます。
荷物の個数(量)によって1~5€という考えもあるようですが正直めんどくさいので5€札を使います。
清掃係
1人でも2人でも渡す必要はありません。
アメリカをはじめとする欧米諸国の文化では枕元にチップを置くスタイルが定番のようですが、イタリアは必要ありません。むしろイタリア人の友人は国内旅行で一度もしたことがないと断言していました。セレブな方であればホテルも高級で質の高い接客をされ、そのマンチャも比例するとは思いますが大多数の方はそうではないので必要ありません。
しかし、清掃係という仕事はそのほとんどが移民の方が従事されており生活は苦しいのが一般的です。そういった意味で綺麗なベッドメイキング、清掃をしてくれたお返しと応援する意味も込めてマンチャを渡してもいいかもしれません。私たち日本人が当たり前に思っているホテル室内の綺麗な清掃は外国では当たり前ではなく、日本人ほど神経質ではない外国の方が意識をして仕事をされています。つまり適当な仕事も多いのです。そういった文化的背景も考えると渡したくなる気持ちも出てきますね。
フロント(クローク)
2人旅行の場合、10€絶対に渡します。
しかも先に渡します。というのはまずホテルチェックインをするときにまず会話するのがフロント受付です。ここがかなり重要で、ホテル内または旅行中に何か困ったことが起こった場合に親身になって助けてくれる可能性が高いんです。イタリアは治安がいいとは言えず置き引きも少なくありません、チェックアウトするときもそうですが少し時間が空いて荷物を見てもらいたいという時があります。そんな時に確実に見てもらえるよう”マンチャ渡したしお願いね!”という意味を込めています。先に渡すのもいいですがチェックインで5€、チェックアウトで5€でもいいかもしれません。
バール、ピッツェリア、パブ・エノテカ
1人でも2人でも渡す必要はありません。
これらは大衆的な意味合いが強く要求されることも一切ないと思ってもいいでしょう。誰でも利用できるリーズナブルなところなのでマンチャは必要ありません。
観光地 青の洞窟など
2人の場合20€渡します。
今でもいい思い出ですが、シーズン中の青の洞窟はとにかく観光客がごった返しています。船で島に渡り、その後中型船で洞窟近くまで行き、その後小さなボートに乗り換え陽気な若者が洞窟まで漕いで案内してれるという流れです。その小さなボートに乗り移る前に、船頭してくれる若門がマンチャ!マンチャ!と声をかけてきます。筆者はイタリア語はある程度わかるし、せっかく来たので待つのも嫌だし、じっくりと見たいので20€渡し、『しっかり案内を頼むぞ!』と言って乗り込みました。すると、洞窟の前で順番を待っている無数のボートを横目に、ごぼう抜きをして洞窟に入る事が出来ました。しかも、他の観光客より明らかに長く洞窟内で滞在してくれたんです。
マンチャを全く渡さない同じアジア系の新婚夫婦がいましたが、すごく雑に扱われ洞窟の前でしっかりと順番を待ち、洞窟に入ってからものの数十秒で出てきました。なんともあからさまな対応の差を感じた瞬間でしたが、当時も今もあの時はしっかり渡して置いてよかったなと思っています。
タクシー
親切にしてくれたら渡しましょう。
基本的には渡さなくてもいいですが、愛想が良くて親切なドライバーも多いので素直な気持ちで対応すればいいと思います。2000年代前半は悪徳タクシーが沢山いたようですが今はほとんどいません、ただ意図的に遠回りしたりと悪知恵が働くイタリア人も多いのでGoogleマップで見てますよアピールをしながら乗車するもいいと思います。
現地の人は英語をしゃべれない方がほとんどで、そこは日本人と同じです。イタリア語を事前に学んでいたら、タクシー運転手との楽しい会話が旅の素敵な思い出になるでしょうね。
チップの準備
アメリカをはじめとする欧米諸国は$でのチップ支払いで硬貨をなるべく避けて、1$紙幣で渡す(支払う)のが一般的です。イタリアの場合も、もしチップ(マンチャ)を渡す場合は最小金額紙幣の5€を多く持参しておいてもいいかもしれません。続いて10€という具合です。どちらも使いやすく観光する際によく使う金額なので多少多めに準備しておきましょう。
クレジットカード支払いの場合、精算書にサインするとき、「Tip」や「Service Charge」といった欄が設けられていることが多いため、任意(感謝の気持ち)の額を記載しましょう。
イタリア チップ相場 早見表
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イタリア以外のヨーロッパ(EU)諸国はチップは必要なの?
近年2020年にイギリスが脱退しEU加盟国は現在27か国あります。
21の 共和国(ブルガリア、キプロス、クロアチア、イタリア、フランスなどの共和国) 、5つの 王国(ベルギー王国、デンマーク王国、オランダ王国、スペイン王国、スウェーデン王国) 、1つの 大公国(ルクセンブルク大王国)で構成されています。一番若い加盟国 クロアチア は2013年7月1日に加盟しています。
結論 必要ではありません(義務ではありません)
イタリアと同じくヨーロッパ各国は同じ考えで問題はありません。
下記に記した例ですが、参考程度に理解頂ければと思います。基本的には必要ありません。
筆者の体験や友人の話から、ヨーロッパ諸国のチップは必要ないと断言していますがネット上では下記のように必要説もあるようなのでEU主要国3国を違う見解でまとめています。
イギリスのチップ相場:United Kingdom
ホテル: ベル係やルームサービスには、1回につき1ポンドが一般的。
飲食店: サービス料が含まれていない場合、食事代の10~15%が一般的。一部の店では「12.5%」と明示されることも。
タクシー: 運賃の10~15%が一般的。
フランスのチップ相場:France
ホテル: 特別なサービスを要求した場合、1回につき2~5ユーロが一般的。通常のサービスにはチップは不要。
飲食店: 高級レストランでは食事代の5~10%が一般的。カジュアルな店ではお釣りの小銭を残す程度でOK。
タクシー: 大きな荷物を運んでもらった場合などに2~5ユーロが一般的。
ドイツのチップ相場:Germany
ホテル: ベルボーイやルームサービスを要求した場合には、1ユーロが一般的。
飲食店: 店の格に応じて食事代の5~10%。支払い時に金額を切り上げるか、お釣りの小銭を残すことも。
タクシー: 運賃の10%が一般的。
欧州連合加盟国
欧州連合加盟国 – Wikipedia
参考 アメリカのチップ事情
チップ文化はアメリカでは一般的であり、受けたサービスに対して料金を支払う文化です。私達のアジア諸国と異なり、アメリカではマナーの一部として位置づけられています。レストランやホテルでは、チップを渡すことが前提とされており、知識の不足からトラブルを引き起こす可能性もあるようです。チップの金額はサービスの評価に反映されるため、少額のチップはサービスに問題があると誤解されかねません。
チップは感謝の表れであり、罰則を受けることはありませんが、良いサービスを受けたにもかかわらず支払わないとトラブルの原因になることがあります。特にホテルの清掃スタッフなどは、チップが収入の一部となっているため、支払いが必要とされます。ネット上にも試しにチップなしでホテル連泊してみたら清掃が露骨にひどくなったなど、一定数の反映するようです。
アメリカのチップ相場:The United States of America
ホテル: ベル係は荷物の個数やサイズに応じて、1個につき2~3ドルが一般的。ベッドメイキングには枕元などに1~2ドルを置くことが通常。
飲食店: 食事代の15~20%をチップとして渡す 簡単な軽食を提供する場でも必要な場合あり
タクシー: 運賃の15%が一般的。
国別チップの要不要まとめ
イタリアってチップは必要なの?【720日間の滞在経験と新婚旅行の体験談】まとめ
基本的にはイタリアはチップは必要がない。
気持ち良く対応してくれた場合、感謝を伝えたい場合には渡すという認識で問題ありません。ただ、渡すことによって円滑に進む場合もありますので、上記を参考にして大事だなと感じたところにはしっかりと渡してあげましょう。お互い気持ちいいですし、旅の思い出になる場合が大いにあります。
繰り返しますが、チップを頻繁に渡す場合はサービスが希薄になる可能性がありますし、犯罪の観点からもその行為を見ている周りの人間から目を付けやすくなります。そういった背景も視野にいれながら適切なチップ(マンチャ)を渡してきましょう。
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