食に携わる仕事をして早24年以上の筆者。消費者側と提供側の視点を持っていると自負しています。刺身が大好きで毎日食べたいところですが、ぐっと我慢して週末限定で楽しみにしています。そんな、お刺身が少し臭ったり、少し黒いなと感じた時にこちらの方法を試して下さい。
冷たい塩水でさらす
シンプルで1番やりやすいお勧めの方法です。まず準備するものは、400g程の水を準備、その水に3~3.5%の塩を加えます。400gの3%ですの12gとなります。この塩もなるべく美味しい塩を使うと更に美味しくなります。塩が溶けた水に冷凍庫の氷を2~3ケ入れて準備は完了です。
その冷たい塩水の中に、購入したお刺身を洗うように入れ10分位漬け込みします。
そして、キッチンペーパーなどで普通に水分を取り除きお皿に盛り付け完成です。
これは、身が締まり、余分な水分を除去する「氷塩水処理」と呼ばれる塩水の浸透圧の効果です。10分という時間にも理由があり刺身の中心温度を0℃に近づける必要があるからです。
- 急速冷却効果 自己消化を抑制し細菌の繁殖速度を抑える
- 塩水処理効果 魚肉が締りドリップを防ぎ魚体表明の発色作用がある
炙るまたは焼く
かもぼこ板など焦げていもいいものを敷いて、バーナーで焼き付けます。どんな魚種でも炙ると香ばしい香りが付き段違いに美味しくなります。しかし、バーナーは家庭にあまりないので、フライパンでさっと焼くと美味しく頂けます。
この場合も、焼き付ける前に軽く塩をふり臭いのもととなる余分なドリップを除去してから焼きましょう。
氷塩水処理について
スーパー鮮魚部では、この氷塩水処理は日常的に使われています。専用機械はバックヤード作業スペース中心に置かれている事がほとんどです。前述でも記した通り、鮮度維持する為には有効な技術で、お店ではアジやイワシ、鰆、カレイなど様々な魚種をこの機械に10分~30分程度浸漬させ見栄えの向上、鮮度維持として活躍しています。この技術を刺身に応用したのが、冷水の塩水にさらす方法です。
冷塩水機 鮮度保持の決め手
鮮度管理機器
冷塩水機 鮮度保持の決め手|業務用の厨房機器ならホシザキ株式会社 (hoshizaki.co.jp)ホシザキさんから引用
筆者は、初めてこの機械を見た時に魚が風呂に入っている!?と驚いたのを覚えています。今では勝手に”見た目復活機”と呼んでいますが、すごく優秀な機械なのは間違いありません。
スーパー鮮魚部 刺身の豆知識
残念ながらほとんどすべてのチェーンスーパーで提供されている刺身は、鮮度がすごくいいものではありません。まず漁師さんの段階(しめ方)でその後の鮮度は大きく変わります。基本的な商流は、漁師→市場→仲卸→(+仲卸)→スーパー→売り場となります。
漁師 ~魚のしめ方~
- 活けじめ 鮮度が保たれ美味しいとされる。急所を締めて血を抜き、海水で洗う方法
- 野じめ 劣化が早く味が落ちると言われている。自然死の状態で特に血抜きはしない方法
大きく2通りのしめ方があるのですが、魚の鮮度や美味しさに大きく作用してきます。青物(ヒラマサなど)の柵や、刺身を見た時に血合いが黒っぽい状態が野じめにあたります。手間がかかったものほど高くなります。安いものはそれなりの理由があるという事です。
滞留期間
漁師さんから市場そして、仲卸と流れていきますが様々な理由で1日程度市場に滞留する場合もあります。仲卸業者さんとスーパー鮮魚部の管理においても適正な管理が出来ていればいいのですが、一定時間放置していたりすると魚の鮮度は落ちていきます。
魚の相場、需要と供給など様々な理由がありますが鮮度が良い、悪いに関しては結局のところ人の管理体制で決まってくると言っていいと思います。ですので、町の魚屋さんや、新鮮な魚が有名なスーパーが存在しているのです。別記事にも魚選びのポイントをご紹介しています。スーパーの魚売り場 失敗しない11のポイント
まとめ
もしも、刺身の臭いが気になる、黒っぽいなと感じたら冷たい塩水の方法をお試しください。普通に食べるよりも断然美味しく食べる事が出来るはずです。刺身を購入する際もまずは信頼の出来るお店を探していきましょう。
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