外食店やスーパー業界では主に生産性の向上を目的に、
プロセスセンター(以後PCと表記)を活用しているところが多くなっています。
そこで、重要となってくるのが原価計算をベースとしたレシピです。
20代で調理師として働き、現在食品メーカーに勤務している筆者がレシピの大事なポイントを説明しています。
是非参考にして下さい。
今期は店の名物となる”とり天”をセンターで作ろう!
センター利益35%以上、店利益50%以上必要だけど、
売価はいくらにしようか…
私は現場の仕事があるので計算はお任せしますっっ
今回は”とり天”を例にして話を進めていきます。
商品概要は、
- 銘柄鶏カット済のむね肉を使用
- 味付けは和風だしベースの白だしを使用
- てんぷら粉をどろ付け状にして真空
- 300gてんぷら粉バッターと700gの味付け肉を1㎏袋詰め
- 真空し冷凍
- 店舗発注でセンターから発送
目標値は、
- 高利益のメニュー
- センターの利益35%以上
- 店舗の利益50%以上
とり天製造から納品までの流れ
- センター鶏むね肉のカット
仕入れた鶏むね肉を機械または人の手で30~60g成型でカット
- センター鶏肉に下味を付ける
カットした鶏肉に白だしなどを加えて揉みこむ
- センター天ぷらバッター液を作る
水と天ぷら粉でバッター液を作っておく
- センター1袋単位で製造する
真空袋に①下味鶏むね肉②天ぷらバッター液を入れ脱気する
- センター冷凍保管
- 店舗店舗へ発送
- 店舗店舗でフライヤーで揚げて提供
簡単に混ぜてくっつかないようにする
センター製造バージョンのレシピ計算式が重要な理由
個人のお店や、個店で販売するものに関しては提供品目もそれほど多くはなく
店主の範疇(はんちゅう)で売上が構成され大きな問題にはなりません。
しかし、店舗が多い企業にとっては、提供品目数や数が多い為しっかりとした原価計算をしていないと
会社に対して損失を招いてしまいます。
具体的に重要な理由を記していきます。
その① 確実な利益確保
原料となる鶏むね肉が大体600円/㎏、使う調味料もざっくりこれくらいで、1袋詰めたとり天の原価は○○円くらいかな。
という具合に適当に計算をしてしまっては、全く確実性がなく最終売価も適当なものになってしまいます。
利益は一般的にセンターと店は独立して考えるべきですので、どちらの利益も考えます。
センターの取り分、店の取り分を明確にするということです。
企業にとって大事な事は”確実性のある利益確保”。
数字で可視化する事で製造後の見直しも可能となってきますし、
利益確保が最大の目標とすれば構成を修正し改善する事が出来ます。
その② 携わる全ての人が理解出来る
数値化、言語化していないと絵や言葉で伝えようとしても第三者には全く伝わりません。
日本の伝統工芸品でさえ近年作業工程マニュアルがあるくらいです。
商品に携わる人全てに理解してもらう事で納得を得られ、同じ目標を共有する事が出来ます。
その③ 修正が容易
今問題なく出来ている作業が、原材料高騰、人手不足によって
1年後には問題になっている可能性は大いにあります。
リスクヘッジの観点からも、数値化しておくことで問題点が明確にわかり、修正する事が出来ます。
例えば、1年後に鶏肉の単価が1.2倍になってしまった。などなど…
だれでも修正が簡単にできるような形式にするといいでしょう。
センター用 プロ向け料理レシピテンプレート
こちらが、センター向けのレシピ原本です。
シンプルな形式となってますので工夫して使ってみて下さい。
OneDriveでの埋め込みなので表記がはっきりしていませんが、↓こちらがExcel原本となります。
より専門的な項目とは
ご紹介したレシピ原本は、あくまでもスタンダードなものですが下記の項目を追記するとより専門性の高い資料となります。
人事生産性
ここでいう人事生産性とは、投入された労働時間に対して生み出した利益を示す指標です。
具体的には
『携わった従業員1人が1時間あたりどれくらいの利益を上げたか』
により計算されます。
計算式…粗利益÷総労働時間
で計算をする事が出来ます。
前提として生産性を計る対象ごとに把握する必要があります。
今回でいえば”とり天”という商品を製造する場合という事になります。
この指標で大事な部分は、人事生産性を向上させる為には、粗利益の向上。
そして、労働時間の削減。この2つです。
ほとんどすべてに工場に導入されている指標なので是非参考にしてみて下さい。
作業時間
人事生産性に付随するものではありますが、
単純に作業時間明記があればより精度の高いセンター製造レシピとなります。
センターが一番利益を出しやすいとされる考え方は単品量産です。
一つの商品を数多く製造する事でコストダウンが出来ますし、作業スピードも多く向上します。
今回の”とり天”に関して言えば、
てんぷら粉を水で溶かす、鶏肉に調味料を入れて揉みこむ、真空袋を広げておくなどと言った作業が以外に時間がかかってしまいます。
そういった場合に、人事生産性の観点で作業時間削減する為には機械導入を検討するというステップになります。
最後に
今回はオーソドックスなExcel原本をご紹介させて頂きました。
この原本をベースにしてカスタマイズして頂ければより良いものになっていくと思います。
是非、ご活用下さい。
コメント